SPORTS TOPICS 五郎丸ポーズだけじゃない!ヤマハ発動機ジュビロ・山村亮選手に聞く「ラグビー観戦の楽しみ方」 2016.1.7

ヤマハジュビロ

(写真提供:ヤマハ発動機ジュビロ)

 

ラグビー日本代表の大活躍により、国内のラグビー・トップリーグの観客も倍増するなど、日本にラグビーブームが起きています。
中でも静岡県には、大人気の五郎丸歩選手が所属し、昨年の「日本ラグビーフットボール選手権」で日本一に輝いたチーム「ヤマハ発動機ジュビロ」があることから、ラグビー観戦に訪れる人が増えています。

そこで気になるのが「ラグビーの試合って、どう観ればいいの?」というところ。
今回は、ジュビロの優しいアニキ・山村亮選手が、初心者にオススメの「ラグビー観戦の楽しみ方」を教えてくれました。

山村選手

ラグビーの話になると自然に目が輝いてくる山村亮選手。1981年8月9日佐賀県生まれ、186cm/120kg。ポジション=プロップ(スクラムの最前列に入る選手)。ヤマハ一筋12年のベテランでキャプテンを務めた経験も。日本代表としても39試合に出場し、ワールドカップは2回経験。中学時代まで相撲をやっていて、佐賀県大会に優勝して複数の相撲部屋から勧誘されたという経歴を持つ。

 

他のスポーツに比べて番狂わせが起こりにくいと言われるラグビーの世界で、日本代表が世界3位の南アフリカを破ったことは“史上最大のアップセット(番狂わせ)”と言われました。その快挙は、日本だけでなく世界中のラグビーファンに驚きと、熱い感動を与えました。
その日本代表選手たちもプレーするトップリーグが11月中旬に開幕し、山村選手や五郎丸選手が所属するヤマハ発動機ジュビロは、開幕5連勝と絶好調(12/17現在)。開幕戦の観客数も、昨シーズン約4千人だったのが、今年は約9千人と倍以上に増えているそうです。

この状況に山村選手は、「選手たち自身も以前からラグビーをもっとメジャーにしたいと思っていました。今回の代表の活躍のおかげですごく良い追い風が吹いているので、僕らもその力になれるように、試合に出て良いパフォーマンスをして、ピッチ外でもできる限り普及活動をやっていきたいと思います」と非常に張り切っています。

ヤマハスタジアム

ジュビロのホーム「ヤマハスタジアム」は、ピッチとスタンドの距離が非常に近く、ラグビーの迫力を味わうには絶好のスタジアム。試合後は、写真のように選手たちが間近で観客と触れ合ってくれる。(写真提供:ヤマハ発動機ジュビロ)

 

【初観戦の人はここに注目!】

「僕は中学3年生のときに佐賀工業高の小城博監督に声をかけていただいて、初めてラグビーの試合(全国高校ラグビー大会)を観ました。そのときはルールも全然わかっていませんでしたが、優勝候補(啓光学園)に対して佐賀工業が(点を)取られては追いつき、取られては追いつきと、ひたむきに頑張っている姿に感動して、それが相撲からラグビーに転向する大きなきっかけになりました」
と、初のラグビー観戦により、その後の人生を大きく変えることになった山村選手。だからこそ「ラグビーのルールはちょっと難しいですが、でもルールを知らなくてもラグビーは十分に楽しめます」と自信を持って言います。
そこで、まだ一度もラグビーを観に行ったことがない人に向けて、注目してほしいポイントを伺いました。

 

1.とにかく一度は生で観戦してほしい!

「やっぱりスタジアムで生観戦するのと、テレビで観るのとは迫力が全然違います。テレビ観戦だとルールがわからないと楽しめない面もありますが、生だと選手同士のぶつかり合いや試合のスピード感、スタジアムの雰囲気などで十分楽しめると思います」
まずは一度スタジアムに足を運んで生の迫力を体感することが、何よりも一番オススメしたい部分。それで一気にラグビーにハマる人はとても多いそうです。

 

2.ピッチ上の音を聞こう!

「人と人がぶつかる音というのは、他のスポーツにはない迫力がある要素だと思うので、ぜひ一度聞いていただきたいです」と、これは五郎丸選手が教えてくれたポイント。
特にジュビロのホームであるヤマハスタジアムは、ピッチとスタンドの距離が非常に近いので、その音を聞いたり、生の迫力を感じたりするには絶好のスタジアムです。

山村選手も「ゴールに近いほうが肉弾戦が多いと思うので、音や迫力を実感したいならゴール寄りのバックスタンドの最前列あたりがオススメです」と席の位置までアドバイスしてくれました。

練習風景

選手同士の激しいぶつかり合いから生まれる“音”も、ラグビーの醍醐味のひとつ。スタンドとピッチが近いヤマハスタジアムで観戦すれば、その音の迫力にビックリするはずだ。

 

3.仲間のために頑張り続ける選手に注目!

ラグビーの基本精神を語るうえで“One for All , All for One”(1人は全員のために、全員は1人のために)という有名な言葉があります。

「やっぱり仲間のために身体を張り続ける選手たちの姿を観てほしいです」(五郎丸選手)、

「ラグビーは15人でやるスポーツで、その他にもチームを支えてくれるメンバーがいて、みんなで苦しいこともキツいことも一緒に乗り越えて、試合が勝ったときの喜びをみんなで共有できるのが良いところです」(山村選手)

とプレーしている選手たち自身も、そこはラグビーの醍醐味と感じている部分。得点に直接絡む選手以外にも、縁の下で献身的に頑張っている選手に注目してみてください。

 

4.選手に間近で接してみよう!

インタビュー前に山村選手と握手したとき、186cm/120kgの肉体にまず圧倒されました。
「僕らは慣れてますが、身長が190cmぐらいあって体重が100kgを越えるような筋肉質の人間は、たしかに身近にはなかなかいないでしょうね(笑)」と山村選手も言いますが、間近で接すると、鍛え上げられた筋肉や身体の厚みがものすごくインパクトや説得力を持っています。

トップリーグでは、「グリーティングタイム」といって、試合後に両チームの選手数人が、ゲートのところで握手やサインに応じる時間を設けています。それに参加するのも、ラグビーの魅力を感じ、好きな選手を見つけるうえでもオススメです。

 

【ラグビーの基本原則を理解しよう!】

続いて、もう少しラグビーを知りたいと思っている方に向けて、ラグビーを観るうえで知っておきたい基本原則や最低限のルールを教えてもらいました。

 

1.ラグビーは地道な陣取りゲーム

ラグビーでは、サッカーやアメフトのようにロングパスで一気にボールを前に運ぶことができないので、本当に少しずつでも陣地を稼いでいくのが大事になります。

「1mでも50cmでもとにかく前に前にボールを運んでいけばトライにつながる競技なので、とくに僕たちフォワード陣(スクラムを組む選手たち)は、ボールを失わずに少しずつでも『ゲインライン』(そのプレーの最初にボールがあった位置)を越えることを意識しながらプレーしています」(山村選手)

たまには足の速い選手が長い距離を独走して大きく陣地を稼ぐこともありますが、それは他の選手たちが頑張って相手のスキやスペースを作っているからこそできること。どれだけゲインラインを越える攻撃が続けられているかに注目すると、少しずつラグビーがわかってくるはずです。

 

2.得点の入り方は4パターン

ラグビーでは、得点の入り方にも4つのパターンがあるので、初心者にはまずそれがわかりにくい部分かもしれませんが、一度理解してしまえばそんなに難しくはありません。

1)いちばんわかりやすいのが「トライ」で、ボールを持った選手が敵地の「インゴール」と呼ばれるエリアにボールを着地させることで成立します。これで5点が入ります。

2)トライが成功すると、トライした位置の後方からゴール(神社の鳥居のようなゲート)にキックする権利が与えられます。これが決まると「コンバージョンゴール」といって2点が与えられます。

3)相手チームの反則によってゴールを狙うキックの権利が与えられる場合があり、これが決まると「ペナルティゴール」といって3点が与えられます。五郎丸ポーズが見られるのは、このペナルティキックやコンバージョンキックの場面です。

4)通常のプレー中でも、チャンスがあればドロップキック(一度地面に落として弾んできたボールを蹴ること)でゴールを狙うことができます。これが決まると「ドロップゴール」といって3点が与えられます。

五郎丸ポーズ

お馴染みの「五郎丸ポーズ」を見るためには、その前に他の選手たちの地味で献身的な働きによってトライやペナルティキックを取らなければならない。そうした視点で観戦すると、またラグビーの楽しみも広がるはず。(写真提供:ヤマハ発動機ジュビロ)

 

3.ボールよりも前でプレーしてはいけない

ラグビーでは、ボールより前にいた選手がプレーに参加するのはズルいことという基本的な考え方があり、それを犯すと「オフサイド」という反則がとられます。だから、ボールより前にいた選手は、必ず一度ボールの位置よりも後ろに戻らないとプレーに参加することができません。

オフサイドにはいろいろなパターンがあるので、それをすべて把握するのは難しいですが、まずはオフサイドの基本的な考え方を理解しておきましょう。

 

4.ボールを前に投げてはいけない

これもオフサイドの考え方と同じで、ボールより前にいる選手にパスをしてはいけません。それを犯すと「スローフォワード」という反則がとられます。また、ボールを前に落とすのも反則になります。これは「ノックオン」と呼ばれて、試合中にもよく見られます。

ただ、足で前に蹴るのは認められていて、それで陣地を稼げる場合もあります。しかし、蹴った時点でボールよりも前にいた選手は、そのキックを追いかけることができません。

 

【基本がわかってきたら、ここにも注目!】

「スクラム」、「ラック」、「モール」、「ラインアウト」などなど……ラグビー独特のプレーや用語はたくさんありますが、「少しずつ覚えていただければ良いと思います」と山村選手も言います。まずはラグビーの魅力や楽しさを知ってもらうことが、選手たちの強い願いでもあります。

その意味で、ラグビーをより深く楽しむには、次の2つの要素も大事にしてほしいと山村選手はつけ加えてくれました。

ハンドリング

サッカーのスローインにあたる「ラインアウト」では、このように大きな選手を高く抱え上げてキャッチするという迫力あるシーンが見られる。ここから相手を押し込んでいくプレーも、ヤマハジュビロが得意とする攻撃パターンのひとつ。

 

応援する選手やチームを見つけよう!

「何のスポーツでも同じですけど、応援したいチームを見つけて、試合を観ながら一喜一憂するのがやっぱり楽しいですよね。だから、最初は『五郎丸ポーズを見たい』というだけでも大歓迎です。でも、五郎丸がキックするためには、誰かがトライやペナルティを取らないといけないので、そこを応援していただけると、自然にラグビー全体が楽しめるようになってくると思います」

 

ラグビーの地味な部分も楽しもう!

ラグビーの試合の中では、トライやゴールを狙うキックなどの目立つ場面もありますが、そこに到る過程の地味なプレーが本当に大事です。

「ヤマハはフォワード勝負に自信を持っていますし、そこは泥臭くて地味な部分なんですが、僕らが少しずつでもゲインしていけば、徐々に相手のディフェンスが寄ってきて、スペースができたりするので、そこから大きくパスを展開してトライを狙うチャンスが生まれてきます。
その『今だ!』という瞬時の判断も見どころだと思いますし、そのチャンスが来るまで、フォワード陣は愚直に前に前に進み続けます。そうやってトライやペナルティキックがとれれば、僕らも本当にうれしいですし、そこで確実にキックを決めてくれる五郎丸がいるのは本当にありがたいこと。僕らの頑張りも報われます」

ラック

フォワードの選手たちがタックルされた選手のところに集まって押し合う「ラック」から、バックス陣にボールが出たところ。ここから大きくオープンスペースにボールを展開して、トライを奪う場面もラグビーの見どころ。

 

まさに“One for All , All for One”の精神ですね。

そうしたジュビロの特徴を知ったうえでヤマハスタジアムに足を運ぶと、ラグビーがより一層楽しくなるのではないでしょうか。

選手

練習後に談笑する山村選手(左)と五郎丸選手(右)。肉体的には本当に戦士だが、ピッチを離れればとても紳士的で、優しい笑顔を見せるのもラグビー選手たちの魅力だ。

 


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