SPORTS TOPICS スポーツは科学だ! アローズジム・川瀬トレーナーに聞く「親子でチャレンジ!かけっこの苦手克服法」 2015.12.12

低酸素トレーニング

(写真提供:アローズジャパン(株))

浜松市にある「アローズジム」は、スポーツ科学を本格的にトレーニングに応用して効果を上げている、民間では日本で唯一とも言える施設です。
「すべての基本は走ることから」と、特に子どもたちの運動能力を高めるために、かけっこやマラソンが速くなるための指導に力を入れています。生徒たちの多くは、どちらかと言えば元々は運動が苦手な子どもたち。そんな子どもたちが楽しみながら通う「スポーツの塾」とも言えるアローズジム。
今回は、創設者で代表取締役の山下典秀さんと、現役の短距離走選手でもあるトレーナーの川瀬聡一朗さんに、家庭で出来る、かけっこの苦手意識を克服するためのトレーニング方法を聞いてみました。

アローズジム 山下代表アローズジムを創設した山下典秀代表は、さまざまな競技のトレーナーとして、北京オリンピック、アジア大会、ユニバーシアード、世界選手権、ワールドカップなどの日本代表チームに帯同。そんな中で海外のチームには医科学スタッフが帯同していることが多いことに注目し、スポーツ科学の重要性を実感。日本にもそうした環境を定着させるために、自らアローズジムを立ち上げた。「日本オリンピック委員会 強化医科学スタッフ」も務める。

 

「スポーツは科学だ」をスローガンに、2011年に浜松市からスタートした「アローズジム」。“スポーツ才能開発”、“スポーツ医科学研究”、“スポーツメディカル”の3事業を柱として、積極的にスポーツ科学を取り入れた活動を続ける最先端のスポーツジムです。その中には、走ること・身体を動かすことだけでなく、眼の能力を鍛える“スポーツビジョン”のトレーニングなども取り入れ、あらゆる側面からスポーツマンの基礎能力を高めることに取り組んでいます。

現在は浜松市内に2つのジムを開設して、多くのプロアスリートや子どもたちの能力測定やトレーニングを行なっています。新津ジム(中区新津町)には「アローズラボ/スポーツ医科学研究所」が併設され、専任の研究員が大学や研究機関なみの測定機器を駆使してプロ選手や子どもたちのトレーニング効果を測定し、競技力向上に生かしています。
契約プロとしては、浜松・東三河フェニックス(バスケットボール)、名古屋オーシャンズ(フットサル)、藤田寛之プロ(プロゴルファー)といった国内トップクラスのチームやアスリートが名を連ね、フェニックスのbjリーグ制覇にも貢献しました。

そんなアローズジムでは「カケッコ×マラソン塾」という体験入学的な短期集中イベントを、夏、冬、春に開催していて、すでに2,000人近くの子どもが受講しています。

アローズジム内観

新津ジムのトレーニングルーム。さまざまな機器を使って科学的トレーニングが行なわれており、右下のパソコンには“スポーツビジョン”のトレーニングプログラムが入っている。また上のフロアには「アローズラボ/スポーツ医科学研究所」が併設され、大学や研究機関なみの測定機器を備えている。

 

【かけっこが速くなるポイント】

まずはスタートの姿勢!自分の利き足を知ろう

というわけで、まずはそんなアローズジムの山下代表に「かけっこが速くなるポイント」を聞いてみました。

「スタートするとき、どちらの足を前にして構えるかというのは意外に重要です。」と山下さん。
基本は「軸足が前、利き足が後ろ」。そうすると一歩目を大きく踏み出せるので、逆足にする場合とは大きな差が生まれるそうです。
そこで、まずは自分の“利き足”がどちらなのか。写真のような方法でチェックしてみましょう。

利き足チェック

目をつぶって立ち、後ろから背中を押してもらう。無意識に前に出した足が利き足、残った足が軸足となる。

 

腕の振り方は肩関節を中心に

速く走るためには、腕の振り方も重要です。
ポイントは上の写真のように肩を中心に腕全体を振ること。下の写真のように腕(肘)を曲げたり伸ばしたりするだけだと、肩関節はあまり動かず、スピードアップに貢献しません。

良い腕振りの例

良い腕振りの例。肩関節をしっかりうごかしている。

 

悪い腕振りの例

悪い腕振りの例。肘の曲げ伸ばしだけで肩が動いていない。

 

【かけっこが速くなるための3つのトレーニング】

次に、川瀬トレーナーに「かけっこが速くなるためのトレーニング方法」を教えてもらいました。

アローズジム 川瀬トレーナー

かけっこが速くなるトレーニングを教えてくれた川瀬聡一朗さん。400m走をメインにした短距離走選手で、午前中は「アローズジャパン陸上部」の一員として自らのトレーニングを積み、午後からは子どもたちの指導にあたっている。

 

ピッチ、ストライド、バネ力を高めよう!

「走るスピードは、単純に言えば『ピッチ(歩数)』×『ストライド(歩幅)』で決まります。ただ、ピッチを速くすることだけを考えるとストライドが小さくなりやすく、ストライドを広げすぎるとピッチが遅くなってしまうので、その2要素がバランス良く両立することが重要です。そして、その両方を高めるカギになるのが筋肉の『バネ力』です。バネ力を高めると、足の回転が速く・大きくなるのです。」と川瀬さん。

その3大要素を鍛えるための自宅でもできる簡単なトレーニング法を、川瀬さんの実演付きで紹介してもらいましょう。

 

1.バネ力の強化法「なわとびの二重跳び」

まずいちばん基本となる「バネ力」を鍛えるには、なわとびがいちばん手軽で効果的だそうです。

「ポイントは、かかとを着けずにつま先だけでなるべく高くジャンプすること。いちばん良いのは、裸足で二重跳びをすることです。」

 

2.ピッチの強化法「十字ステップ」

ピッチを速くする=足の回転を速くするためには、前後左右に足を素早くステップするトレーニングが効果的です。

写真のような道具がなくても、公園などの土に十字を書いて、そこでステップを踏むトレーニングをやってみましょう。

十字ステップ

十字ステップのトレーニング。前後左右に細かく足を動かす。

 

3.ストライドの強化法「大股のスキップ」

ストライド(歩幅)を広げるには、単純に足を大きく前に踏み出そうとしてもうまくいきません。身体(重心)の移動が伴っていなければならないからです。そこで、身体をうまく前に運ぶ感覚を身につけるために有効なのがスキップだそうです。

「普通のスキップの様に足を高く上げるのでなく、足を前に出す感覚で大きくスキップすることが大切です。これはバネ力を鍛えるのにも良いので、適した場所があれば裸足で行なうとより効果的ですよ。」と川瀬さんが実演してくれましたが、スキップとは思えないスピードにびっくりです。さすがトップアスリート!

スキップ

スキップによるトレーニング。速く、大きく跳んで、身体を前に運んでいく感覚を身につける。

 

【選手が働きながらトレーニングできる環境】

ここまで、親子で家でもできる簡単なトレーニング法を紹介してきました。「少しでも走るのを速くしたい」と思っているお子さんがいたら、ぜひ試してみてください。もし、より本格的なトレーニングをしてみたい場合には、前述の「カケッコ×マラソン塾」に参加するのも良いかもしれません。


アローズジムが行なっている短期集中トレーニング「カケッコ×マラソン塾」の様子。写真のようなジャンプ系のトレーニングの他、さまざまな科学的トレーニングとその成果を体験することができる。(写真提供:アローズジャパン(株))

 

今回アドバイスを頂いたアローズジムは、現役の陸上競技選手がスタッフや研究者として採用され、自身も科学的トレーニングを積みながら研究・指導をしているということでも注目されています。

今年から陸上部が創設され、日本陸上競技選手権の男子4×100mリレーでは、川瀬さんも出場して、住友電工、ミズノといった常連チームに続く全国3位という実績を早くも残しています。

日本では、マラソンや駅伝の選手は社会人になっても競技を続けやすいですが、短距離走の選手は仕事をしながら競技を続けていくのがなかなか難しい面があります。そんな中で、短距離選手に仕事と活躍の場を提供しているという意味でも、また、子どもたちが現役のアスリートと触れ合い、指導を受けられる場を作るという意味でも、アローズジムの取り組みは大きな意義があるのではないでしょうか。

2016年の春には3つめのジムをオープンし、徐々に静岡県内、全国へと展開していくのを目指しているとのこと。そして2020年の東京オリンピックに出場するような選手を育てるのも大きな目標のひとつ。静岡発のスポーツ文化がまたひとつ、全国への、いや世界へのチャレンジを始めています。


2015年から始動した「アローズジャパン陸上部」は、創部1年目にして日本陸上競技選手権の男子4×100mリレーで決勝に進出。各選手がアスリートと指導者・研究者という二足のわらじで頑張っていて、「子どもたちに指導していることが、自分自身の競技にも役立っています」と川瀬さんは語る。(写真提供:アローズジャパン(株))

 

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