パワースポット

~清水区ローカルパワースポットを巡る~現代も伝わる歴史と信仰(後編)~

言い成り地蔵と杉原山

スポット巡りと言いつつ、自動車移動でも中々大変な区内飛び飛びな行程となってしまいました。最後に向かうのは清水区村松、港から内陸にかけての町並みを見渡す高台の土地となっています。

 

今回紹介するスポットは残り二カ所、最後は徒歩でまとめて巡ることのできる二つの祠です。

自動車で来た場合は鉄舟寺(てっしゅうじ)の駐車場を利用させていただきましょう。こちらも由緒あるお寺ですが、今回のローカルパワースポット紹介の趣旨からは外れるのでまたの機会に。

 

鉄舟寺の門より右側の道を進んだ先に一つ目のスポット・言い成り地蔵尊があります。

現代的な小さな祠にお地蔵様と千羽鶴などたくさんの飾り、数年前の台風で倒壊の危機に瀕したとのことで風除けも整備されています。

 

言い成り地蔵尊の由来には具体的な歴史があります。

 

元和2年(西暦1616年)にこの地に来た旅の老人が病に倒れ、村人が親切に看病しました。しかし老人は日に日に衰弱し、死の際に感謝を告げながら「私は地蔵菩薩の化身である。私が死した後に地蔵菩薩を祀れば、どんな願いでも叶うだろう」と遺しました。

 

村人は言葉の通りにお地蔵様を祀り、供養しました。願いを叶えるお地蔵様はいつしか【言い成りさん】として伝わるようになり、村人以外の人々にも愛されたそうです。

お地蔵さまには奉納の証でもある赤い涎掛けが掛けられていました。お参りの仕方が書かれていたり、蝋燭が常備されていたりと、地域の人々に愛されたスポットであることが分かりますね。

 

祠は鉄舟寺の敷地内にあり、綺麗に整備されているのも鉄舟寺に集まったボランティアや言い成り地蔵尊を信仰する近隣の人々が掃除をしているからとのこと。

干支が書かれた紙の絵馬なども地域の人々の手で作られ、様々な願い事が書かれていました。毎年2月23日にはお祭りも行われているそうです。

 

言い成り地蔵尊を後にして、道なりに進んですぐの場所には二カ所目の祠・杉原山虚空蔵堂(すぎはらさんこくうぞうどう)があります。

杉原山は約500年前に創建された村松一丁目の本能寺の飛び地境内でした。

 

戦国時代、三方ヶ原の戦いより前の機会に徳川家康を窮地に陥れることに成功した武田信玄でしたが、追い詰めた七人の家臣は家康を取り逃がしてしまい、主君に申し訳が立たないと自害したそうです。

 

哀れに思った村人達は武田家家臣の七人を供養し、七代様と呼んで伝えてきました。七代様は本能寺によって1771年より虚空蔵菩薩として祀られるようになりました。

 

こちらは言い成り地蔵尊とは違い、何か願いを叶える存在ではありませんが、戦国の世で主君の為に命を賭した武士たちを後世に伝えようとした、当時の村人の人情を感じることのできるスポットです。

 

杉原山は虚空蔵堂から5分程急な山道を登ることで山頂へ出られます。

山頂にはパワースポットっぽさ溢れる立派な石碑がありますが、こちらは日本のジャーナリスト・徳富蘇峰(とくとみそほう)の七言絶句が刻まれた石碑で、要するに景色が綺麗だよという話ですので、虚空蔵堂や言い成り地蔵尊の話とは無関係でした。

 

パワースポット巡りのおまけですが、石碑があるのは山頂からの眺望を絶賛した蘇峰が【富士見台】と名付けたとされる、清水屈指の絶景富士を見ることのできる景勝地。

 

様々な信仰の歴史を巡った最後に発展した町の様子と共に富士を眺めることで、移り変わる時代のエネルギーを感じることができた気がします。今回のパワースポット巡りはこの辺りで。

 

葵 桜玖耶(あおい さくや)

高校在学中に趣味でご当地PR活動を始める。静岡市内の観光案内所勤務の経験や、食べ歩き趣味をネタに市内情報を幅広く紹介中。静岡市観光&グルメブログ『みなと町でも桜は咲くら』やSNSにて、お得なランチ情報を中心に毎日更新を続けています!

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